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風はここから

風はここから

私、これでいいみたい


          私、これでいいみたい

 学校を卒業してとくにする事もなくつまんないなって思ってた時期がありました。
 学生の時は学校に行くために、入院した時は病気を治すためにがんばってたけど、今は何をがんばればいいんだろうって。その時、自分のことを聞くのは嫌だったので、お年寄りの方を自分に置き換えて母に聞いたのです。どうして寝たきりのおばあちゃんのために皆がんばるのか?特に役に立つ事しないし、お世話も大変なのにと。
 これは本心で言ったのではなく、自分でも言いながら、なんて残酷なこと言うんだろうと思いながら。でも役に立たないし、世話が大変というのは実は自分のことだったのです。家にいても特に役に立っているわけでもないし、そしたら母の返事は「おばあちゃんはどうして年をとったか知ってる?」と言いました。子どもを一生懸命育てて、心配もたくさんたくさんしてきたのです。どんなに偉い人でも子どもの頃はあったのだし、その子を育てたのは親です。それを時には一人ぐらしの老人がいたり、老人ホームに入れられたり・・でもそれには仕方のない理由がきっとあるのです。それもわかっているのだけど、もし、役に立たないからという理由で、子どもが立派になったらはい、さよならでは、ひどい話です。自分を育ててくれた親だから、いっぱい心配してくれて、一生懸命働いて、ご飯作って・・・・。大切にしてあげるのは当然の事だと母は言いました。その後、私ってなんてひどい事聞いたんだろう。役に立たないなんてと思いました。でもその日からお年寄りの方がとてもかっこうよく見えてきました。でも私が、聞きたかったのは自分の事です。私は親としてがんばった後の人生ではないから、ちょっと聞きたい事と返事が違っていたけれど、いいこと聞いちゃったって感じです。こういうこと知らない人に教えてあげられたらと思いました。

 でもどうしてもやっぱり自分の存在が知りたくて、別の日にまた母に私がいなくなったら楽かな?って聞いたのです。そしたら、母は楽かもしれないし、それは分からない、いなかったらいない生活があるし、いればいる生活だし。でももしお母さんと雪絵が逆だったらどうする?いなくなればいいと思う?って言いました。私ははっとしました。またまたばかな事を聞いてしまったと。もし、逆だったら、毎日寝てても泣いていてもわがままばかり言ってても、役にたたなくても、きっと・・・ううん絶対、誰よりも愛すると思う。大切にすると思う。大好きでいると思う。

 こんな私だけど いいみたい。


(笹田 雪絵)


雪絵ちゃんの気持ち


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